「86、ラパンアナム(3)」(2020年04月08日) そう言い渡され、免許証とSTNKを握ったまま警官がどこかへ行ってしまうから、運転 者の方は「さあuang damaiを用意しなきゃ。」ということになる。当時の相場は25ルピ ア。相場というのはマジョリティがその金額で終わっているということでしかなく、数少 ないがそれ以上もあるし、それ以下もある。こういうものに一律の定価などは存在しない 。誰がいつどこで、なぜ、どのようにして、という不定要因が金額を決めるのである。 25ルピアが高いか安いかについては、当時の対米ドルルピアレートが250ルピア/U SDだったから、きっと安すぎて驚く人も出るだろう。70年4月17日にレートが37 8ルピア/USDに切り下げられたから、その後はきっとジゴでなくなったのではあるま いか。 ルピアに関する総合知識は下でご参照いただけます。 http://omdoyok.web.fc2.com/Kawan/Kawan-NishiShourou/kawan-24Duit_rupiah.pdf これは総集編であり、「ルピアレートの変遷(全5回)」(2019年9月18〜24日 )は最終章です。添えられているグラフで、ルピアの目減りは一目瞭然! ジゴはあれからおよそ30年経った2000年の21世紀幕開け期に、ノバンゴになって いた。なんと1千倍の増加率だ。2000年の対米ドルルピアレートが1万ルピアを少し 下回るレベルだったから、ウアンダマイの上昇というのは実質的にすさまじい値上がりだ ったわけである。故スハルト大統領が「どうだね、わしの時代は良かっただろうが・・・ 」と笑みを浮かべて語りかけて来る姿に図星を射ている思いが感じられなくもない。 さて、86の意味がdamaiであり、またtahu-sama-tahuであるかのように使われている現 実においては、86というのは互いに相手を理解し、相手がメリットを享受することで自 分もメリットを得るという互助的行為のニュアンスが濃い。 だが警察内部で使われている86は、また少々異なっている。ハンディトーキーで本部と 会話している現場警官は次のような言葉を述べている。 Delapan enam Ndan, taruna! これを普通のインドネシア語に置き換えると: Mengerti Komandan, siap menerima perintah! 日本語では: 了解しました、指揮官殿。命令をどうぞ! しかし別のソースによれば、 Delapan enam Ndanは普通のインドネシア語でBaik Komandan、あるいは英語でAffirmative Sirを意味して使われることもあるらしい。 昔の音声通信の世界では、テンコードというものが使われた。テンフォー10−4がラジ ャーザッroger thatの意味であることは有名だ。ちなみにインドネシア警察も10−2、 10−4や10−8を使っているそうだが、10−2は現在地、10−8は目的地へ進行 中を意味するらしく、APCOテンコードの意味とは忠実に合致していないように思われ る。ただし有名な10−4だけはぴったり合致していることに驚かされる。[ 続く ]