「ジャワ豹(3)」(2021年01月20日)

ギリムッティ村を騒がせたこのヒョウは最終的に住民に捕獲されて、チサルアのタマンサ
ファリインドネシアに収容された。年齢7〜8歳、体重50キロの大物で、ジャンパンと
いう名前を与えられた。

このジャンパンは人間の生活領域と森林とを結ぶ踏み分け道からおよそ百メートルほど離
れた地区に棲んでいたようで、人間の姿を見慣れているらしく、人間が近寄ってもあまり
興奮しない。他のヒョウなら人間に対して頻繁に牙をむくのに、ジャンパンはいささかの
んびりと構えている。捕まるまで、ジャンパンは牛・ヤギから犬まで飼育動物を獲物にし
ていたらしい。

一方、同じ月に中部ジャワ州ジュパラ県クリン郡トゥンプル村ドゥプラッ部落に夜間、ヒ
ョウが侵入し、鶏小屋を襲って鶏を食った事件が報告された。現場を見た者はいなかった
が、ムリア山系自然林と部落の間の道にヒョウの足跡や排泄物があるのを部落民は見つけ
ており、その推測は間違いがないようだ。

2011年からそれまでにこの村にヒョウが侵入した事件は6回起こり、鶏・家鴨・ヤギ
などの家畜が多数、ヒョウの餌食になった。中部ジャワ州天然資源保存館長は、ムリア山
系に棲息するヒョウは成長すると、親の生活領域から離れて自分の縄張りを作らなければ
ならず、人間が自然林を開墾して農園や畑を作るために自然林が狭まり、必然的にヒョウ
が人間の生活領域に侵入することが起こる、と語っている。

クドゥス・ジュパラ・パティの三県にまたがっているムリア山系に棲息しているジャワ豹
の調査が行われたが、野生動物監視カメラには一匹も捕捉されなかった。だがかれらの通
り道には足跡や糞が見つかっていて、かれらの存在を疑う者はひとりもいない。ましてや
山岳自然林に接している部落にはかれらの侵入した証拠がいくらも上がっているので、か
れらの全貌をつかもうと当局側は躍起になっている。ここの自然林にはキジャンがいて、
キジャンもヒョウの餌食になっているとのことだ。


2014年6月には、再びチラチャップ県クタアグン村で、鶏小屋を襲ったヒョウが小屋
から出られなくなるという事件が起こった。早朝にそれを見つけた住民が警察に報告し、
警察から天然資源保存館に報告が入って、ヒョウ捕獲隊の出動となった。

チラチャップ県でのヒョウ侵入事件はこれで過去十二か月間に四回発生している。人間の
生活領域に入って来るヒョウは若年のものが多い、かれらにとって安全な森林の中での縄
張りはどうしても成熟したヒョウが先取するから、若い者は食料を得るために危険を冒さ
なければ仕方なくなる。

中部ジャワ州北部地域と同様に南部地域も監視カメラを使った野生動物調査が行われ、こ
ちらの方はかなり多くの情報が手に入った。ヌサカンバガン島だけでも18頭のヒョウが
棲息しているそうだ。

西ジャワ州でも国立公園内での監視カメラによる調査が行われている。2014年前半の
調査で、ハリムンサラッHalimun Salak山国立公園内の野生動物の中にしばしばジャワ豹
の姿が出現した。

同公園管理館は、棲息しているジャワ豹の総頭数は2013年が16頭と推定されたが、
2014年は18頭に増加していることを報告した。ヒョウは公園内でキジャンkijan・
カンチルkancil・ルトゥンlutungなどを捕食している。[ 続く ]