「マサカンパダン(3)」(2021年08月12日)

インドネシアワルンパダン同盟Ikatan Warung Padang Indonesiaによれば、2013年に
はパダン料理を食べさせてくれる場所が首都圏に2万軒あった。そのうちの8割がロワー
ミドル層だという話なので、ちゃんとした食堂らしきものはきっと4千軒ほどだったのだ
ろう。

全国のワルンパダンはミナンカバウの特定地方出身者がネットワークを組んでいる。その
同郷という要因がランタウの人脈形成を円滑にしているのは間違いあるまい。大きいネッ
トワークは5つあって、次のようになっている。
1. Padangpariaman: Pakandagang, Pauhkamba, Sungaisariak VII Koto, Sumur-Kraitaji, 
Lubuakalung, Sicincin
2. Padang Kota: Lubuk Minturun, Kototangah
3. Agam dan Bukittinggi
4. Solok
5. Pasirselatan

パダンパリアマングループが全体の7割を占めているそうだ。つまり小規模ワルンはたい
ていがこのグループだろうという見当がつく。小規模ワルンのスタイルは普通、オーナー
が出資者で、給料制や親類縁者を無給で使って寝食と小遣いを与えるスタイルが多い。
一方、大きい店を出しているのはブキッティンギやパダンコタ出身者だ。こちらは事業者
と投資者や上級従業員からの出資などが集められて事業が行われており、店の利益が出資
比率に応じて分配される仕組みになっている。


ヌサンタラのどこの町へ行こうが、パダン料理masakan padangはたいていのひとが知って
いる。ミナンカバウの食を味わいたければ、レストランパダンへ行けばよい。サンバルラ
ドsambal lado、赤鯛の頭のグライgulai kepala ikan kakap merah、グライガジェボgulai 
gajeboh、デンデンバトコッdendeng batokok、そしてルンダンrendang。その他もろもろ
の料理が注文もしないのにテーブルいっぱいに並べられる。そのほとんどがミナン人の家
庭料理であり、祭事にもそれらがより豪華な味付けで供される。

その数多いパダン料理の中で、どのメニューに人気があるのかをコンパス紙が調査した。
ちょっと古いが、2013年8月に全国12大都市住民672人への電話インタビューで
行われたアンケート調査によれば、ルンダンがマジョリティを占めた。
rendang  70.8%
ayam pop  6.1%
sate padang  4.5%
dendeng balado  4.3%
その他  8.2%

ルンダンとは、牛や水牛の肉をさまざまなスパイスと一緒にココナツミルクの水分がなく
なるまで煮込んだもので、水気のほとんどないスパイスの混合物が肉の周りにまとわりつ
いている状態が普通だ。水気がなくなるまで食材を煮込めば、長期保存が可能になる。長
旅をするとき、古代ミナン人はルンダンを携えて村を出るのが普通だった。[ 続く ]