「ジャワ島の料理(2)」(2021年11月05日)

米の料理方法もいくつかある。大鍋に水とコメを入れて炊く方法はリウッliwetと呼ばれ、
今でも使われている。竹筒に水とブンブとコメを入れて火の近くに置くルマンlemang。コ
コナツミルクと一緒に炊くnasi wuduk。

食べる際には、皿に盛るのが一般的なスタイルだが、儀式の宴では高い円錐形のトゥンプ
ンtumpengと呼ばれる形にする。あるいは日本のおにぎりのように両手で飯を球状に丸め
て固めるナシゴロンnasi golong。白飯に野菜のみじん切りと塩魚を最初から混ぜて皿に
置くmagana。マゴノは今でも中部ジャワのプカロガンPekalonganやウオノソボで食されて
いる。

食材も豊富な種類が述べられている。バナナはraja, klutuk, walingi, sidak, becici, 
marasebaなど15種類、芋類はgembili, kimpul, suweg, linjik、穀物類にはcantel, 
otek, jepen, jagung、その他にも野菜・魚・肉・果実・スパイスなど、さまざまな食材
の名前がスラッチュンティ二の中に記されている。

また調理器具もdandang, pengaron, kukusan, enthong, cethingなどが登場するものの、
調理法については蒸すか焼くかしか書かれていない。


現代のプカロガンで名物になっているmegonoはスラッチュンティのレシピから変化したよ
うだ。今のムゴノは若いナンカの実が使われ、おかずとして作られている。白飯に揚げ卵
や塩魚、そしてムゴノを皿に置き、チャンプルにして食べるスタイルが普通だ。
作り方はブンブとして赤バワン・ニンニク・ククイ・ナンキョウ・バンウコン・コブミカ
ン葉・トラシ・粒コショウ・コリアンダー・塩を混ぜて練り、若いナンカの実は細切れに
してすりおろしたヤシの果肉・トウガラシ・トーチジンジャー・サラム葉と混ぜてからブ
ンブと合わせて蒸すと出来上がる。

プカロガン地元民の定番料理だから、ブンブは出来合いのものがパサルで売られている。
このムゴノ飯は元々朝食に食べられていたそうだが、今では朝昼晩のべつまくなしになっ
ている。街中の食堂でもほとんど必ずメニューの中にあるそうだ。

ムゴノは独立闘争期に広まったという話になっている。容易に手に入る食材ばかりで作ら
れるものだから、経済状況も物資輸送も悪化したあの時代にはうってつけの料理だったの
だろう。

プカロガンの特産料理の中には、pindang tetelというものもある。テテルとは解体肉か
ら肉を切り取ったあとの、骨にくっついて残った肉・筋・脂肪を意味している。そんな牛
のテテランと肉を一緒に煮込んだ汁料理がピンダンテテルだ。ブンブの中にkluwakが使わ
れているため、汁は黒色になる。ラウォンの汁と同じだ。ピンダンテテルはクルプッが汁
の中に浸されている。たいていロントン飯と一緒に食べる。
クルワッはパンギノキの種で、これを使えば黒色人口着色料は必要ない。クルワッを使っ
たブラックチーズケーキの滑らかな舌触りが人気を呼んでいて、見た目はおどろおどろし
いが口には優しい。


プカロガンのもうひとつの名物料理がayam karang menanciだ。1930年からプカロガ
ン市民の人気料理になったこの料理には卵を産まなくなったアヤムカンプンが使われ、ブ
ンブはクローブ・ナツメグ・コショウ・カルダモンというインド=アラブ系の味覚になっ
ており、エキゾチックさに満ちている。鶏肉はまるごと、まずブンブに一昼夜浸す。それ
から4時間煮た後、熾火の上で焼く。これを食べると身体が温かくなり、気分もリラック
スする。

このアヤムカンプンムナンチは元々、ある一家が一族の催し事のときに作るものだった。
1930年にそれを商業化して食堂を開いたのが、この料理がプカロガン名物になる発端
だった。その食堂は今もPande Rasaという看板の下に市内で営業している。[ 続く ]