「ジャワ島の料理(80)」(2022年03月07日)

2017年1月のコンパス紙に書かれたレシピは次のようになっている。
材料
白モチ米 100グラム 
水 250ml
ヤシの果肉フレーク 100グラム (煎っておく)
干し小エビ 15グラム (熱湯をかけて煎り、細かく潰す)
アヒルの卵 5個
赤バワン 30グラム (カラッと揚げておく)
炒め油 大匙1杯
バワンゴレン 振りかけ用

すり潰しブンブ
縮み赤トウガラシ 4個
粒コショウ 小匙半分
バンウコン 3センチ
ショウガ 1センチ

作り方
1.鍋に油を入れて熱し、すり潰しブンブを入れて香りが出るまで加熱する。
2.丸底鍋をコンロに載せて熱し、大匙1杯半の白モチ米を入れ、モチ米を浸してあった
水大匙3杯を加える。
3.別の容器にあひるの卵を割り入れてかき混ぜ、すり潰しブンブ小匙半分、干しエビ小
匙半分、バワンゴレン小匙半分、白砂糖小匙8分の1杯、塩小匙8分の1杯を混ぜて均す。
4.3を2の丸底鍋に加えてよく混ぜ、厚みが均一になるようにしてから、鍋にふたをす
る。
5.水分がなくなったら丸底鍋をコンロの上でひっくり返し、中身の表面に直接火の熱を
当てる。
6.表に十分熱が通ったら出来上がり。クラットゥロルを丸底鍋から外して供する。

これは多分家庭で作ることを想定しているように思われる。実際にブタウィの作り売りク
ラットゥロルの手順を見ると、流れが少々違う。また、ブタウィのオリジナルクラットゥ
ロルは白モチ米を洗って一晩水に浸けたものがそのまま熱した丸底鍋に入れられるのだが、
家庭用レシピの中には炊いてある飯が使われるケースもある。

作り売りクラットゥロルはブンブ類が先に用意されていて、七輪に載せた丸底鍋にまずモ
チ米と水を入れて加熱し、米が炊けたらブンブ類をどんどん置いて行く。そして卵を割り
入れて混ぜ均し、厚みを均一にする。水気がなくなったら鍋をひっくり返して表に火の熱
を当て、表が焼ければ出来上がりだ。

作り売りが持ち運ぶ七輪はインドネシア語でアンロangloと呼ばれている。福建語の洪炉
の発音がそのままインドネシア語になったようだ。


このクラットゥロルはアンクリンを持って来て道端や空き地で作り売りをするスタイルが
普通であり、固定的な売り場を構えて商っているものはほとんどお目にかからない。毎年
クマヨランで開かれていたジャカルタフェアでは、必ず百人を超えるクラットゥロル売り
が姿を現していたが、かれらは季節商売としてそれを行っていて、ジャカルタフェアが終
わると別の仕事で生計を立てている。

ジャカルタフェア以外の場所としてはコタトゥアのファタヒラ公園地区、メンテンのチョ
クロアミノト通り、西ジャカルタのKSトゥブン通り、モナス公園エリア、セトゥババカ
ンのブタウィ文化保存地区、バリト通りのタマンアヨディヤ、スレンセンの都会の森など
があり、またモールの中にかれらを招いているところもあって、そのような季節を問わな
いクラットゥロル作り売りをしているのはみんなブタウィ人だと言われている。[ 続く ]