「ナシチャンプル(4)」(2022年04月04日) [Nasi Kapau] 西スマトラ州ミナンカバウのカパウ村の郷土料理。おかずの味付けはカパウ村が誇るスパ イス満点のものであり、パダンレストランの味付けとは違っている。豆腐と卵を混ぜてグ ライにした練物の腸詰、干し肉のバラド、鶏ルンダン、アヤムゴレン、キャベツのグライ や魚のグライなどがナンカ、キャベツ、ササゲ豆などいくつかの野菜にグライの汁をかけ たものと合わせて白飯と一緒に供される。 [Nasi Padang] レストランで食べるときは、たくさんのおかずがテーブルに並べられ、自分の前には白飯 の載った大皿が置かれる。たくさんのおかずの中から好みのものを取って自分の大皿に並 べると、ナシチャンプルができあがる。だからナシパダンはセルフサービスのナシチャン プルであり、売り手がセットにして出して来るものとは趣が違っている。 レストランで食べないで持ち帰って食べる場合は、ナシブンクスにしてもらう。飯を入れ、 自分が食べたいおかずをそこに入れてもらえば、ナシチャンプルになるという寸法だ。 [Nasi Bali] 多分、ナシバリと呼ぶひとよりもNasi Campur Baliと呼ぶひとのほうが圧倒的に多いだろ う。白飯の周りに数種類のおかずを置いた基本的なナシチャンプルの様式であり、おかず にバリ料理の特徴的なものが添えられるのが普通だ。濃い味付けの鶏肉・卵・野菜などに 加えてバリ料理のアイコンになっているsate lilitが加えられたら、思い残すことはある まい。サテリリッは魚肉のものが多いが、鶏・牛・豚あるいは亀肉を使ったものもある。 [Nasi Ulam] 飯は白飯だが、半煮え状態のときにブンブが加えられて炊き上げられる。ブンブはナンキ ョウ・サラム葉・塩そしてpegagan。プガガンとは薬草の一種で、日本語はツボクサと言 う。プガガンの代わりにバジルが使われることもしばしばだ。 この白飯は供されるときにヤシの果肉フレークをブンブと合わせたスルンデンが上に置か れる。ヤシ油が白飯に混じって飯に旨味が乗るわけだが、それではいまひとつ脂気が足り ないひとは、飯を炊くときにブンブと一緒に植物油を混ぜる。だから基本は白飯であると はいえ、薄い脂飯が出て来ることもある。 元々ムラユ料理だったナシウラムは、スマトラ島のムラユ地域〜マレーシア一帯で種々の バリエーションが作られている。インドネシアではブタウィ料理としての知名度が高いの だが、スマトラにもあればバリ島にもある。 ブタウィ料理としてのナシウラムには、ジャカルタ北部から中央部にかけてのナシウラム basahとジャカルタ南部のナシウラムkeringの二種類がある。 ナシウラムバサは飯にスムルの汁がかけられたもので、おかずとしてビーフン炒め・卵焼 き・テンペゴレン・プルクデル・塩イカ・牛乾肉・キュウリ・バジルなどが添えられる。 ナシウラムクリンは赤バワン・スレー・下ろしウコン・クミン・トラシ・塩砂糖とウラム 飯を混ぜて炒めたものだ。汁をかけることはしない。ヤシの果肉フレークを煎って乾燥さ せた粉で作られるポヤとバワンゴレンが飯に振りかけられる。おかずにはウダンゴレン・ 塩漬け小魚のフライ・卵焼き・キュウリ・バジルが載る。[ 続く ]