「ナシチャンプル(終)」(2022年04月06日) [Nasi Uduk] 世間一般でブタウィ料理とされているナシウドゥッは、ジャワ語が使われている通りジャ ワで生まれたものだそうだ。マタラムスルタン国のスルタンアグンがナシクブリを食べて 感銘を受け、この飯を考案したという説がある。名前もアラブ語のtawadhu'から取られて wudukと書かれたという話だ。いまでもnasi wudukと綴るひともいる。 マタラムのスルタンたちはアラブ飯を好んだとジャワ年代記に書かれている。当時のアラ ブ飯はナシクブリを指していた。スルタンアグンはそれをローカル化させたのである。ロ ーカル化したナシクブリをジャワ人はnasi gurihとも呼んだ。アチェ人のnasi guriと共 通している。 1910〜20年代にジャワの民衆がこの脂飯を好んで作るようになり、それが東インド 諸方面に広がったとも述べられている。だが現実には、ナシウドゥッの作り売り屋台はジ ャワ島内でこそ、あらゆる町でお目にかかれるものの、ジャワ島外ではそれほど一般的で ない印象を受ける。 飯を茹でてから半煮え状態になったものにココナツミルクとナツメグ・シナモン・ショウ ガ・コショウ・スレーを加えて蒸せば、このナシウドゥッができあがる。それに卵・豆腐 ・テンペ・アヤムゴレン・キュウリ・サンバルカチャンなどが添えられてナシウドゥッの ナシチャンプルができあがるのである。 ブタウィのナシウドゥッは地域別に特徴を持っており、中でも西ジャカルタ市スリピ地区 や中央ジャカルタ市クブンカチャン地区のナシウドゥッは有名で、ファンが多い。 [Nasi Liwet] インドネシア語ではナシリウェッと発音されることの多いこの脂飯は、ジャワ語でsega liwetスゴリウッ、スンダ語でsangu liwetサグリウッと発音される。飯の炊き方としての リウッは、米を茹でてから、半煮え状態の飯の水を減らして蒸すというプロセスを経る。 ところがこの脂飯は蒸すプロセスを水でなくココナツミルク・鶏ブイヨン・サラム葉・ス レーを混ぜたもので行うのである。食べるときには、ナシチャンプル様式で供されるのが 普通だ。 スンダのサグリウッの伝統的な食べ方はジャワと少し異なっている。スンダ地方のこの脂 飯の作り方は、ジャワ風のものに加えてバワンと塩が使われ、風味に違いがある。そして 食べ方も、バナナの長い葉の上に飯が盛られ、おかずの筆頭にコイを揚げるか焼くかした ものがでんと載る。生野菜のララップ・塩魚・サンバルトラシが添えられるのはスンダ文 化の常識だ。 このように数人が一枚のバナナ葉の上に置かれたひとつのサグリウッの盛り合わせを一緒 に食べることを、スンダ人はngaliwetと言う。伝統的にガリウッは田畑仕事などを数人が 一緒に行うときの屋外での食事として行われて来たものである。 [Nasi Langgi] ジャワ語でスゴランギと呼ばれるこのナシランギはソロ・スマラン・ヨグヤカルタの料理 である。ココナツミルクとタマリンドそして種々のスパイスを使って炊いた飯に、おかず として卵焼き・ステーキ・スルンデン・クルプッウダン・サンバルゴレンハティ・キュウ リが添えられる。 [ 完 ]