「ソトの世界(9)」(2022年04月26日) スラバヤへ出て行ったソトラモガン事業予定者のひとりは、歩道の権利者から借地料2千 万ルピアと言われ、馬鹿々々しくなって計画を変更した。かれはパプアのビアッBiakに移 住先を変えたのだ。そんなあれやこれやのおかげで、ソトラモガンは全国至るところに店 開きしているのである。 移住先でかれら同郷者はたいてい同じ地域に住み、商売の分業を行って相互扶助に心掛け た。たとえば南ジャカルタ市クバヨランラマ市場に近いチプリル町RT011RW001の4百戸は 99.9%がラモガン出身者だ。 1980年代にラモガンから上京して来た住民のひとりは、その当時その一帯は人家がち らほらあるだけの農園地帯だった、と物語る。ラモガンからの上京者の波が続々とその地 区にやってきて、土地を借りたり買ったりして住むようになった。2000年ごろにはそ こに住宅密集地区ができあがった。 そこに住んだラモガン出身者の多くは養鶏業を営み、食べ物ワルン商売の同郷者に鶏肉を 卸した。一日に2万5千羽が食用肉にされる。そのうちの3千羽がソトラモガンのワルン に流される。 昨今の若い世代はジャカルタ以外の土地に移住してソトラモガンとプチュレレの事業を展 開することを視野に入れている。カリマンタン・バンドン・スラバヤ・ヨグヤカルタに目 を向けている者は4割いるし、バリ・バンカブリトゥン・西ジャワ・リアウ・シドアルジ ョ・タングランを睨んでいる者は1割いる。 *[soto Madura]* ソトアヤム・ソトサピ・ソトババッがある。汁は黄色がかった透明で、ココナツミルクは 使われない。具はそれぞれの肉や臓物に茹で卵・揚げポテト・モヤシが入る。ブンブはコ リアンダー・赤バワン・ニンニク・ショウガ・ウコン・ナンキョウ・ククイ・コブミカン が使われる。 ソトサピの場合、肉を茹で上げてから取り出し、練り合わせたブンブとスレーを茹で汁に 入れて沸騰させる。火を止めてからネギ葉・セロリ葉・バワンゴレン・少量のニンニクを 投げ込む。椀に置いた具にソト汁をかけ、サンバルとライムスライスを添えて供する。 *[coto Makassar]* マカッサルのソトはチョトと呼ばれる。牛肉と牛の臓物が使われるのが基本だ。16世紀 ごろにゴワGowa王国のタカラルで生まれたという説があり、それによれば、牛肉は王宮の 一族のものになるため庶民は臓物しか得られず、臓物をおいしく食べる方法として編み出 されたのだそうだ。 現代のチョトは牛肉と臓物が混じったものが標準で、舌・脳・脾臓・肺・肝臓・心臓・腸 などの臓物は長時間煮て柔らかくし、肉と一緒に小さく切ってブンブで味付けする。チョ トはクトゥパッやブラスburasのおかずとして供される。 ブンブに使われるスパイスは40種類あると言われている。赤バワン・ニンニク・トウガ ラシ・コショウ・コリアンダー・クミン・ククイ・ナツメグ・メース・クローブ・サラム 葉・コブミカン葉・ウコン葉・スレー葉・セロリ葉・ネギ葉・ナンキョウ・ショウガ・シ ナモン・タマリンド・タオチョ・ピーナツなどから成っている。ピーナツのおかげで旨味 が増し、それがチョトマカッサルを特徴付けている。 *[soto Medan]* 鶏・牛・臓物のソトがあり、豊富なスパイスとココナツミルクで作られるので、汁は濃く、 濁っている。ブンブに使われるスパイスは、リモミカン葉・八角・ナンキョウ・スレー・ 赤バワン・ニンニク・コリアンダー・クミン・黒コショウ・ショウガ・ウコン。さらにカ ルダモン・メース・クローブ・シナモン・ナツメグの実なども使われることがある。スマ トラ料理は一般的にスパイスを多用するので、ソトにも同じ傾向が出現する。 *[soto Padang]* 基本はソトサピであり、具の牛肉は薄切りにしてカリッと揚げてあるのが特徴だ。それに ビーフンとジャガイモのプルクデルを合わせ、熱い汁をかけて食べる。たいてい、紅色を つけたサゴのクルプッが添えられる。 レストランパダンのメニューに必ず入っているので、世界中にあるレストランパダンで食 べることができるだろう。[ 続く ]