「ヌサンタラの竹筒料理(4)」(2022年08月25日)

[Puru Timbu]
西ヌサトゥンガラ州スンバワ島東部の先住民であるMbojo人も竹筒で飯を炊く。直径10セ
ンチ、長さ30センチほどの大きな竹筒一節の中にバナナ葉を敷き、洗ってから3〜4時
間水に浸したモチ米を入れ、上から塩味を付けたココナツミルクを注ぐ。最後にココナツ
ミルクをしぼったヤシの果肉の搾り滓を開口部に詰めて蓋をし、その竹筒を火のそばに並
べて3〜4時間加熱する。

食べるときには竹を割ってバナナ葉に包まれた円筒形のモチ米飯を食べるのだが、おかず
と一緒に食事として食べてもよいだろうし、また地元民はおやつ時に黒モチ米のタペと一
緒によく食べている。

竹筒が巨大だから、一個買ってもなかなかひとりで食べおおせるものでなく、おのずと何
人かで分け合って食べるものになっているようだ。


ンボジョ人の生活領域の中心地であるドンプからビマにかけての一帯で、たくさんのプル
ティンブが毎日のように作られて販売されている。プルティンブとはンボジョ語で焼いた
モチ米飯という意味だそうだ。

ドンプ県バダにあるパサルアタス。夕方16時を過ぎると、朝から売場で売り物を広げて
いた販売者がどんどんその日の商売を終えて帰宅する。ひとの姿が少なくなったのもつか
の間、竹筒をたくさん抱えたひとびとがやってきて、空いた売場に入って商品を並べる。
プルティンブの商売が始まったのだ。やってきた販売者たちが適宜売場を開いてからほん
の数十分後に、買い手がどんどん集まってきた。プルティンブだけを商う販売者もいれば、
黒モチ米のタペを一緒に用意している販売者もある。

販売者のひとり、カルスンさんは90本のプルティンブを持ってきた。そのパサルでプル
ティンブ売りは夕方17時前ごろから翌朝6時半ごろまで商売する。翌朝になるとプルテ
ィンブ売りは帰宅し、野菜や果物などの食材をメインに販売する昼間の販売者に交代する
のだ。このパサルは交代制で毎日フル回転していると言えるだろう。

カルスンさんは、だいたいどの販売者も持ってきた商品を売り切って帰宅していると語る。
2016年の売値は一本が2.5〜3.5万ルピアの値段だった。今でもたいして変化し
ていないようだ。

生産者はたいてい、50キロのモチ米で100本前後のプルティンブを作るから、竹筒一
本当たり平均で5百グラムの米が使われる。国民一人当たりの米消費量は一日当たり3百
グラム、あるいは中部スラウェシ州の一人当たり一日5百グラムなどという指標がインタ
ーネットで得られるのを見るなら、竹筒一節のプルティンブを一個買えばひとりの人間の
一日分がそれで確保されることになる。

カルスンさんの家では毎日、昼12時半ごろからプルティンブ作りが開始される。火にあ
ぶる時間が3〜4時間必要なので、17時ごろにパサルアタスで店開きするためには16
時半ごろに焼き上げて商品をパサルに運んで行かなければならない。

パサルにプルティンブを買いに来る客は地元民ばかりでない。観光や商用でドンプを訪れ
る外来者も頻繁にたくさん買い込んで持ち帰る。ひとりで十数本という大荷物を持ってい
くひともいる。プルティンブは三日くらい日持ちするのである。[ 続く ]