「ルアルビアサ」(2022年12月29日)

ライター: インドネシア大学文化学部教官、カシヤント・サストロディノモ
ソース: 2013年1月4日付けコンパス紙 "Luar Biasa" 

この国には本当のところ、luar biasaなことがたくさんある。ただ、そのkeluarbiasaan
の中身はよくよく吟味選別しなければならないものであるのだが。

国語センターのKBBIはluar biasaの語義をtidak seperti biasa, tidak sama dengan 
yang lain, istimewaとしている。しかしこの語句が持っている本来的な価値感がそれで
十分言い尽くされているとは思えない。

「特別な」という意味においては、luar biasaは必ずhebatの意味を持っているはずだ。
たとえばkecerdasannya luar biasa。しかし「普通でない」「他と違っている」の意味な
ら、一般的でないものや不自然なものの意味も含んで多義的になるだろう。


luar biasaという語の多義性は汚職撲滅コミッションに関する法律の概説に見ることがで
きる。そこにはluar biasaの句が三回、次のような関連で登場する。
(1) korupsi merupakan kejahatan luar biasa.
(2) pembasmiannya menuntut cara-cara luar biasa
(3) perlu metode penegakan hukum secara luar biasa

(1)の用法が示している価値感は悪いものだが、(2)と(3)はhebatの価値感を持っている。
少なくとも、行動に駆り立てる意欲が強く感じられるものだ。国家転覆を企てたとしてG
30S実行者を裁くためにオルバレジームの初期にMahkamah Militer Luar Biasaが設け
られたことを思い出そう。


最近、全国サッカー連盟がKongres Luar Biasaをパランカラヤで開催した。この語はしば
しばKLBと短縮される。全国サッカー連盟が収拾のつかない紛糾を収めようとして過去
半年間に開催したKLBはこれで二回目になる。kongres, muktamar, musyawarahなどの
ような組織が行う活動に付けられるluar biasaというラベルは通常、その組織が緊急性や
緊迫性の高い問題に直面していることを示している。つまりKLBやそれに類似した行事
がしばしば開かれる組織というのは、組織運営に問題を抱えているのではないかと見なさ
れて当然だろう。この場合のluar biasaはhebatの価値感を持っていないということにな
る。

大学でguru besar luar biasaという言葉をよく耳にする。これは非常勤の学術者を意味
しており、つまり別の大学から借りてきた教官なのである。この場合のluar biasaは雇用
関係におけるステータスに関わっているとはいえ、単なる管理上の呼称を超えた、特定の
分野に秀でているために与えられた学術上の特別なステータスなのだ。だからこの場合の
luar biasaは優れた評価を示すものになっている。

それに似たものとして、duta besar luar biasaという職名がある。これは政府を代表し
て他国で暫定期間だけ職務に就く外交官を指している。職務を果たす能力の面でもその外
交官がluar biasaであることを望みたい。


書店に行くとLuar Biasaというタイトルの、並のレベルを超える業績を成し遂げたひとび
との話が詰め込まれた雑誌が置かれている。そのように、luar biasaという言葉はポジテ
ィブな意味のlebihの語義を持っている。英語のextraordinaryが示しているexceptional, 
surprising, unusually greatなどのようなものだ。ところがインドネシア語はもっと複
雑で、luar biasaにはkejahatan luar biasaのようにネガティブな意味も含まれている。
たとえば英語のstaggerのようにtindakan tercela yang mengagumkanをも示すことができ
るのである。

Hadi PodoとJoseph J Sulivan共著のKamus Ungkapan Indonesia-Inggris, 1986にある例
文を引用しておこう。
The trickiness of the crooked schemes was staggering.
kelicikan persekonkolan itu luar biasa

わたしはある日、オックステールスープを料理した。日本のスンダ文学専門家ミチヒコ・
モリヤマ氏がそれを食べてみてコメントした。「Wah, rasanya ruar biasa!」
かれの言葉が完璧なものでなかった(日本語には/l/の発音がない)とはいえ、わたしは
かれがこのruar imaginasiな料理の味覚に魅了されたことを確信している。