「ヌサンタラのドゥリアン(4)」(2023年03月06日)

ミドルクラス消費者の買い物は全国チェーンのスーパーに向かうのが普通であり、そこで
売られ始めたタイ産モントン種が国民のおなじみ品になっていったのである。道路脇のキ
オスや道端の露店は貧困階層と一部好事家の行く場所になり、地元近郊で産するドリアン
が地元民マジョリティの口を潤す構図は遠ざかって行った。

だから美味しいドリアンの筆頭格にタイ産モントン種の名前が語られるようになったとき、
「そんなことはない」という大合唱が起こった。コンパス紙のアンケート調査に否定を表
明するひとが過半数を占めたのである。

その状況を嘆く声は数十年前から幅広いうねりを示している。有識者によれば、国内にあ
るドリアン農園の最大規模は20ヘクタールで、そこに2千本の樹が植えられている。結
実シーズンに一本が2百個の果実を生産すると仮定すれば、一回のシーズンに40万個の
果実ができる。そのなにがしかが地元一円の市場で消費され、残った果実は朽ちて腐って
いるだけだ。その一方で、広域チェーンのスーパーマーケットへ行けば輸入品に出会うば
かりであるというのが、有識者がカリカチュア風に描いている実態なのだ。

商品価値を持つドリアンの特徴は次のようなものだ、とかれはわれわれに教えてくれた。
果肉に甘さ・旨味・苦味があって分厚く、ソフトなテクスチャーで低含水率、果肉の色は
ユニークで艶があること。種は小さく、あるいは熟れると小さくなり、一番良いのは種な
し。外殻は薄く、部屋がたくさんあるもの。果実の姿も見映え良く、そして長期保存が可
能なもの。


ドリアンXXのXX部分に使われている名称をざっと調べたところ、次のような長大なリ
ストができあがった。原産地で付けられた名称が一般的なようで、たいていの通人はXX
名称を言うとき、地名が一緒に口にのぼる。しかし原産地がどこであろうと、今では各地
で農園栽培がおこなわれて地元市場にそれが出てくるのだから、原産地から取り寄せられ
たものであるとはかぎらないのが実情だろう。
ajimah, aseupan, aspar, bakul, balqis, bluwuk, cinimang, dodol, dubang, petruk, 
keren, gundulan, hepe, jamain, kalinyamat, kaniau/kanyau/kanyo, kucing titun, 
kumba karna, kuningmas, kura-kura, lai/lay/elai/lei, lai mas, landbouw, menoreh, 
lengkeng, mas/simas, matahari, mentega, namlung petaling, omeh, oneng, sitokong, 
otong, pingku, pelangi, paken/pampaken/pempakin, putra alam, rinbud, si kempis, 
si pandan, si pelit, sukun, sunan, tembaga, tong medaye, tretres, tunan.... 

petruk ジュパラ原産
kalinyamat クドゥス原産 種なし
sukun カランアニャル原産 種なし
sitokong ジャカルタのパサルミング原産
rinbud カリマンタン原産
kura-kura 西カリマンタン原産 根元に近い位置に実ができる
aspar 西カリマンタン原産
tong medaye ロンボッ原産 味・色・テクスチャーは一般市場品より優れている 果実
は1キロ前後で小型
gundulan ロンボッのリンジャニ山麓原産 殻にトゲがない
kucing titun 北スマトラ原産
tembaga バンカ原産
namlung petaling バンカ原産 最高級品で2012年ごろ一個50万ルピアの値がつい
た [ 続く ]