「ヌサンタラのドゥリアン(20)」(2023年03月30日)

そんなリソレスのフィリングがドリアンになっているものがリソレスドリアンだ。まず皮
を作る。小麦粉・粉砂糖・鶏卵・牛乳・マーガリンをよく混ぜ、平底鍋に薄く敷いて焼く。
その皮の一枚一枚にドリアンの果肉を置き、チェダーチーズをおろしてふりかけ、皮を折
ってたたむ。

それを丸ごと溶き卵に浸してからパン粉の上で転がす。これは二回繰り返すこと。それを
たっぷりの油で深揚げするとできあがりだ。

martabak durian
地方によってトランブランという名前で呼ばれているおなじみのマルタバッマニスにドリ
アンが加えられたものだ。もちろん家庭で作ることもできる。ホームメードのマルタバッ
ドリアンはこのようにして作ると便利だ。

小麦粉・ベーキングソーダ・鶏卵・水を混ぜてドウを作る。ドウをマルタバッの焼き型に
入れて焼く。焼きあがったらバターを全体に塗り、練乳をその上に塗る。そこにドリアン
の果肉を敷き詰めるだけで、もう完成。ドリアンの上におろしチーズを降りかければ、き
っと極上ものになるはずだ。

sop durian
名前はsopだが、実体は練乳の水溶液だ。練乳を容器に入れ、熱湯を少し加えて溶かす。
そこに冷水と氷を少し加えて適度な濃さにする。あとはドリアンの果肉を置いて、上から
チェダーチーズをおろしてふりかけるだけ。

soto durian
名前はsotoだが、実体は練乳の水溶液だ。つまり、soto durianとはsop durianの別名な
のである。このソトドリアンをわざわざsoto buah durianと呼ぶひとがあるのは、ドリア
ンの花を使ったsoto kembang durianと区別するためではあるまいか?

だから、ソトドリアンと呼ばれるものを世間一般にあるソトの一種だと誤解してはいけな
いのだ。ヌサンタラのソトのいろいろは、「ソトの世界」をご参照いただけます。
http://omdoyok.web.fc2.com/Kawan/Kawan-NishiShourou/Kawan-71JavaFoods/71JavaCookingAnx1.pdf

soto kembang durian
「ドリアン花のソト」は上の拙著「ソトの世界」に収録されるべきソトの仲間であるとい
うのに、知名度がそれほど高くなかったために「ソトの世界」から漏れてしまった。ドリ
アン花のソトを味見したければ、ヨグヤカルタ特別州クロンプロゴ県バンジャロヨ村の食
事ワルンOmah Durenを訪れるとよい。オマドゥレン店主の奥さんが作った新種メニューで
あり、クロンプロゴ県行政が推す郷土の新開発メニューなのである。

ソトクンバンドリアンを注文すると、塩味の普通のソトが供される。だが、どんぶりの中
でドリアンの果肉を探してはいけない。入っているはずがないのだから。アヤムゴレンの
裂き肉と勘違いしそうなものがトッピングとして載っている。それがドリアン花なのだ。
ドリアン臭が漂ってくるから、確かにアヤムゴレンでないことが分かる。口に入れると、
まるでヒラタケのような食感だそうだ。

kolak durian
コラッというのはグラメラとココナツミルクとパンダン葉を煮込んだ濃い汁のことだ。芋
類・バナナ・ナンカなどをそこに入れて煮込む。汁だけ食べることはしない。

コラッドリアンは炊いたモチ米にかけて食べる。鍋にココナツミルク・グラメラ・パンダ
ン葉・塩を入れて熱し、コラッ溶液を作る。そこに種付きの果肉を入れて沸騰させる。
容器にモチ米飯を置き、上にドリアンを置いて溶液を全体にかける。[ 続く ]