「ヌサンタラのサンバル(4)」(2023年04月13日)

トウガラシは元々外来種だったとはいえ、5百年以上も各地で栽培が続けられると、その
土地の特性を反映した地元種というものが出現するようになる。たとえばインドネシア人
が好む地元種にタンジュン種やレンバン種があって、それらをチョベッですりつぶすと滑
らかできめ細かく、潤い具合が格好のトウガラシペーストになる。多分それがサンバルに
使うのに最適な形質なのではあるまいか。


サンバルには数えきれないくらいの種類があって、おまけに新しいアイデアが世の中にど
んどんサンバルの種類を増やしているのが実態らしい。わたしも自宅の庭に生えているブ
リンビンウルの実でサンバルを作る。ブリンビンウルは一年に何回も結実が起こり、しか
も樹の全体を覆うくらい鈴なりになるので、保存食を作るように心がけているわけだ。放
置すると完熟して落ちた実が地面で腐敗し、ハエの大量発生を招くことになる。しかしど
う頑張って作っても、樹に生った実の半分近くは結局地上で腐ることになる。

このサンバルブリンビンはいくらインドネシア人といえども知らないだろうと思っていた
が、インターネットの中にたくさんレシピ―が出現するのを見て、さすがなものだと感心
してしまった。


ちょっと古いが、2014年11月9日付けコンパス紙にサンバルに関するアンケート調
査結果が掲載されていた。これは2014年8月20〜22日に全国12大都市住民70
8人から集めた調査結果で、それによるとサンバル愛好者は8割近くに達した。
質問1:サンバルはお好き?
yes 食欲を増進させるから 35.4%
yes 辣みが好きだから 23.2%
yes 習慣になっているから 20.3%
no サンバルは嫌い 20.2%

質問2:サンバルのお好みの種類は?
sambal terasi 49.4%
sambal tomat   20.9%
sambal bawang   7.8%
sambal kecap     4.0%
sambal balado    3.5%
sambal kacang    3.1%
その他      6.5%

その記事によれば、サンバル製造販売ビジネスはヌサンタラで確固たる地盤を築いている。
飲食品事業者連盟のデータでは、サンバルソース産業は年間1.3〜1.5兆ルピアの規
模を持ち、2013年の輸出実績は350トンで175億ルピア相当の外貨を獲得した。
輸出先はサウジアラビア、マレーシア、日本、シンガポールという順位になっていた。
[ 続く ]