「ヌサンタラのサンバル(8)」(2023年04月19日)

sambal ganja
ガンジャは大麻のことで、これはアチェ独特のサンバルだ。チャベラウィッ・ブリンビン
ウル・赤バワンと他のいくつかのブンブで作られる。麻薬になるのは大麻の葉であり、料
理のブンブになるのは大麻の種の粉末だ。大麻の一切が麻薬に指定されてしまったので、
ただの食用ブンブでしかなかった種の粉末もご法度に触れるものになり、表向きは世の中
に出なくなった。しかし名前通りのサンバルを食べる機会がどこかにあるような話も世の
中に流れている。

sambal nanas
パイナップルの実のコマ切れが混ざっているサンバルがこれだ。パレンバンを象徴するよ
うなサンバルであり、しばしばナシミニャッやマルビに付け合わされることが多い。

sambal kemang
クマンの樹は学名をMangifera kemangaと言う。その樹の実とトラシ、そしてグラメラを
トウガラシと混ぜて作ったサンバルがこのサンバルクマンだ。これもパレンバンの郷土料
理である。

sambal calok
これもパレンバンの郷土料理だ。チャロッとはトラシを意味しており、赤トウガラシ・チ
ャベラウィッ・トラシでこのサンバルが作られる・

sambal cung
トマトによく似たcung kediroの実を加えた、パレンバン産のサンバル。

sambal tempoyak
ドリアンの果肉を発酵させた酸味のあるテンポヤッを使うサンバル。トウガラシとその他
の常連メンバーで作られるサンバルにテンポヤッが加えられるが、その場合はたいていコ
ブミカンのしぼり汁も足し込まれることが多い。これを生で供してもよいし、炒めて火を
通してから供してもおいしい。
テンポヤッは主にスマトラのジャンビ・西スマトラ・南スマトラ・ブンクル・ランプンで
よく作られることから、このサンバルもそれらの地方で人気がある。

sambal rampai
トマトの代わりにランパイを使う、ランプン地方独特のサンバル。ランパイとは小型のト
マトで、普通種のトマトと味が大きく違っているために、はじめて味わう人は不思議な顔
をするそうだ。トウガラシ・ランパイ・トラシ・塩を使って普通のサンバルトラシのよう
に作る。普通のサンバルトラシは炒めるひともいるのだが、サンバルランパイは熱を加え
ない。
ランプン名物のプチュレレや海産魚の焼き魚あるいは揚げ魚をランプンの食事ワルンで食
べると、かならずサンバルランパイが付いてくると言われている。食堂の中には、サンバ
ルランパイを作ったチョベッの上に焼き魚や揚げ魚を置いて、ウルカンでペニェッすると
ころも少なくない。その方が、サンバルが魚肉に染みこんで美味しいとかれらは言う。
[ 続く ]