「ヌサンタラのサンバル(10)」(2023年04月21日)

バリ島のお隣のロンボッ島では「サンバル ンチム」が販売されている。サンバル ンチ
ムも6種類のバリエーションで、一番売れ行きの良いのがsambal terasi taliwangとのこ
とだ。生産者のへピ・ナタリアさんは月に2千ボトルの生産量だと語っている。


バンドンでは「ヘリヤ」ブランドが2011年から三種類の商品レンジを引っさげて市場
に顔を出した。sambal goang, sambal daun jeruk, sambal udangがその三つ。事業主の
イルダムさんは、ひと月にレンバンのチャベドンバを200キロ消費する、と語っている。
チャベドンバはチャベラウィッの激辛種だ。

ヘリヤのオリジナル製品にサンバルクルワッがある。東ジャワの特産料理ラウォンスープ
の主原料に使われているあのクルワッだ。イルダムはサンバルの市場ターゲットを若者層
と都市部に地方から働きに出てきたオフィス勤めのひとびとに置いた。「ヘリヤ!」とは
現代の若者たちが何かを気に入って愉しい気分になったときに口をついて出る言葉なのだ
そうだ。ポップな若者層とナウいアーバンライフスタイルを求める消費者が、かれが照準
を当てている対象なのである。

都市部に出てきてオフィス勤めをしているひとたちは、きっとサンバルを恋しがっている
だろう。商品販売は雑多な食べ物屋に委託したり、ソスメドでオファーしたりして、ひと
つ2万ルピアのパック詰めを月平均3千個販売している。最初は手ですりつぶしていた作
業は今や機械化されているそうだ。


スラバヤでも、「サンバル ブ ルディ」が毎日プラボトル詰めサンバルを2千本以上作
っている。sambal bawang, sambal hijau peda ikan asin, sambal bajak terasiが商品
ラインナップ。マディウン出身の事業主ラニ・シスワディさんはスラバヤで一家を成し、
サンバル事業をスラバヤで栄えさせた。サンバル販売所を市内に三カ所持ち、すべて家族
が運営している。

毎日の生産量は必ずその日に売り切れてしまう。ジャカルタ・バンドン・メダンなどで「
サンバル ブ ルディ」が小売店の棚に載っているのを目にすることがあっても、ビジネ
ス関係はまったくないとラニは語っている。それはつまりそれらの遠方の商店主がスラバ
ヤで購入したか、あるいは客のだれかがそれらの店に送って再販させているといったこと
らしい。


スンダ人のララップ食にサンバルは欠かせない。なにしろ、野菜や葉っぱの種類に良く合
うサンバルをあれこれと作ったほどで、これを病膏肓と言うのかもしれない。なにしろ、
スンダ人が食べるララップ素材は2百種にのぼるという話だから、そのそれぞれに良く合
うサンバルともなると20や30では済まないかもしれない。

スンダ料理におけるサンバル体験を求めるひとに格好な店がガルッにある。コンパス紙が
お勧めするのがRumah Makan Cibiukだ。酸と辣をたっぷり愉しめるsambal manggaを筆頭
にして、sambal oncom, sambal kencur, sambal kecap, sambal kemangi, sambal bajak, 
sambal kemiri, sambal terasiとサンバルのオンパレード。店主のイユスさんは、できる
だけ多種類のサンバルを客に堪能してもらうのが当店の願いです、と語る。

この店にはsambal cibiukというたいへんユニークなサンバルがある。これはチビウッの
郷土サンバルであり、この地に一体化した地元サンバルなのだから、他の土地でお目にか
かれないのは当然だ。チビウッのひとびとはチャベラウィッ・小型緑トマト・バンウコン
・バジルを粗くすりつぶしてこの郷土サンバルを作る。[ 続く ]