「オクヌム(後)」(2023年05月05日)

強盗を働いた軍人はオクヌムである。
収賄した警官はオクヌムである。
マネーポリティクスを行った政治家はオクヌムである。
賄賂を受け取った行政高官はオクヌムである。
法の原理をねじまげる弁護士・法律家・判事・検事はオクヌムである。
汚職が摘発された県令・知事・大臣はオクヌムである。
学歴の証書を偽造し、仕事をサボり、国会の議場でいびきをかいている代議士はオクヌム
である。
ドーピングを使うスポーツ選手はオクヌムである。
スポーツ試合のスコアを操作する審判はオクヌムである。
金一封を使う記者や虚偽ニュースを流すアナウンサーはオクヌムである。
法的措置を受けたスポーツ組織の上級役員はオクヌムである。
他人の作品を剽窃した芸術家はオクヌムである。
他人の卒論や考えをカンニングした大学修士はオクヌムである。
学術的に非適切な振舞いをする大学教授はオクヌムである。
教育の中でふさわしくない取引をする教師はオクヌムである。
金銭的性的な不倫行為を行う、宗教上の模範的人物たるべき宗教者はオクヌムである。

そしてわれわれは全国を驚愕の渦の中に叩き込んだ不届きな事件を知っている。信頼され
尊敬されるべき法律国家コミッション職員と総選挙国家コミッションの元職員が贈収賄事
件で摘発されたのだ。かれらもオクヌムと呼ぶことになるのか?ワッラ―!


この国では毎日毎日オクヌムが登場してくる。オクヌムはどこにでもいるのだ。反対に、
累犯の前科者が突然悟りを開いて改心したときもかれはオクヌムと呼ばれるのだろうか?
それは疑わしい。というのもオクヌムの語は、所属集団や組織にとってのイメージ的にデ
メリットをもたらす、その者が行った逸脱あるいは歪んだ行為に関連させて使われるから
だ。ましてや、マテリアリズムの轟きわたる今の時代に悟りを開く意識が生育するような
可能性も疑わしい。

邪悪な歪んだ行為が改善されてその者が悟りの境地に達するようなことが起こるなどと期
待するのは、なかなか容易なことではあるまい。歪んだ悪行の伝染は日々に広まり、また
深化している。この歪んだ逸脱行為の社会病弊はさまざまな変種を生み出してありとあら
ゆる方向に拡大している。時が経過すればするほど、その統御は困難になっている。

オクヌム名簿は長くなるばかりだ。こんな狭いコラムに書き出すのはもはや不可能だ。刑
務所さえもがかれらを収容しきれない。この国はオクヌムの国家になろうとしているのだ
ろうか?それは止めるべきだろう。そんなことになってはいけない。リパブリックオクヌ
ムになるのはただのリパブリックMimpiになるよりもひどいことなのだ。ほら![ 完 ]