「ジャワ島妖怪大全(16)」(2023年06月26日)

22 kaki puspaki
23 nini puspaki
姿を見せることはないが、人間はかれらを老齢の分別に満ちた人物として想像している。
そのため男のほうをMbah Kakung、女はMbah Puteriと親しみを示して呼ぶ者も多い。

ジャワ人が苦難に陥ったりどうしてよいのか分からなくなったとき、このハントゥに供物
を捧げて道を開いてもらうのである。人間にとって、欲求や失望、罪悪感などの調整役と
して働いていると見ることができるだろう。

24 kaki among
25 nini among
赤児の時から結婚するまで子供を守護するハントゥがニニアモン別名Nini Mamangだ。こ
のハントゥも姿を現わさないが、老爺(カキアモン)や老婆(ニニアモン)の姿をしてい
ると想像されている。

ジャワ人が子供を連れて遠い旅をする場合、カキアモンやニニアモンを呼んで子供の保護
を依頼する。そのために子供が生まれてから最初の数年間、親が食べ物の供物をこのハン
トゥに捧げておくのである。

26 candra birawa
チャンドラビラワは子供の姿をした兵隊ハントゥであり、bocah bajangとも呼ばれた。古
代の王は神秘の小人兵団を擁していて、魔術師が呪文を唱えたり秘物を使って兵団を呼び
出し、敵との戦争を勝利に導いた。しかし現代ジャワ人にとってこのハントゥは昔話でし
かない。とはいえ、現代ジャワ人の中にチャンドラビラワに助けを求めて喧嘩に勝とうと
する者がいるのだそうだ。

27 niyayi tawa
別名niyayi tawangとも呼ばれるこのハントゥは台所の守護者だ。このハントゥは顔の大
きい老婆の姿で示現し、人間を助ける。ジャワの女たちが台所仕事をするときにはニヤイ
タワを呼んで、料理が焦げないように、あるいはかまどの薪が適切に燃えるように依頼し
た。そのためには、毎週木曜日の夜に花を供え、台所道具を美容クリームborehでこする
儀式を行わなければならない。

一年に一度、ニヤイタワに食べ物を供えて敬意を示す儀式が行われる。その儀式では、柄
の付いたヤシの実の殻に白粉で目鼻耳を描いたものをニヤイタワに見立て、名前を呼びか
け、揺すってから、みんなで食べ物を食べる。そのときニヤイタワもそこに来ていて、み
んなと一緒に食べていると信じられている。

28 ilu-ilu
生きている間、気随気ままでワイルドな暮らしをしていた者の霊魂がイルイルだ。イルイ
ルは泣いている人間の姿で現れ、後悔の念を示す雰囲気を発散させている。人間を害する
振舞いはしないものの、怖ろし気な印象が見た者の心身の調子を狂わせる。イルイルの涙
は伝染病の源だと考えられている。イルイルは定住しない。

29 glondhong
巨大な頭を持ちながらそれが身体にくっついていないで分離している姿のグロンドン別名
Endas Gelondongは、そんな状態であちこちを徘徊する。生前に断頭刑に処せられた者の
ハントゥであり、その処刑が不正になされたことを憤ってハントゥになった。[ 続く ]