「クリピッとクルプッ(4)」(2023年08月29日) 伝統的クルプッの中にあまり登場しなかった果実や野菜のクルプッも、このモダン時代に さまざまに試みがなされている。バンドン市は植民地時代から学究都市の性格を持ってい たために、大学生が多いことから伝統的な食べ物をモディファィして新種を作る試みが盛 んに行われた土地だった。それが伝統となって今でも続いており、伝統的食品がモダン食 品に姿を変えて世の中に出て来る現象がバンドンでしばしば起こっている。 バンドンのアントレプルヌールのひとりは、果実と野菜のクルプッを開発商品として製造 販売している。そこでは、果実や野菜の味をしっかりと味わってもらうためにタピオカ粉 は40%にし、果実や野菜を60%の比率にしている。 作り方は果実や野菜をブレンダーにかけ、それに粉とブンブを加えてドウを作る。そのド ウを少しずつ絞って円形の棒状にし、それを蒸す。蒸しあがったら乾燥させ、半乾燥状態 のものを薄板に切る。それを完全に乾燥させてから油で揚げる。 この製法で作れば、果実や野菜の素材の色がはっきり出るので、着色料は一切使われない。 また調味料も基本的なもの以外は使っていないという話であり、人工的でない自然な味覚 が楽しめる。 こうして作られた製品は果実や野菜がたっぷり含まれたクルプッになる。商品ラインナッ プはトウガラシ・ナス・ニンジン・シンコン・サツマイモ・緑豆・パイナップル・トウモ ロコシ・ジャガイモ・トマト・カボチャの11種類もあり、バンドン市内でけっこうな人 気を博している。 次のような土地がジャワ島内のクルプッ生産センターだ。このデータは生産量から見た有 力地方のリストであって、商品のユニークさによって地名が産地として知られているもの とは性質が少し異なっている。もちろん産地だからユニークな商品が出現するという関連 性がおおいにあることも否定できないのだが。 タングラン: 主要20生産者が年間20トンを生産している。主商品はkerupuk bawang インドラマユ: kerupuk udang/ikan生産工場が30軒ある。 スマラン(トゥンタン): kerupuk rendengが主力商品 グルシッ: シダユ郡スロウォ村のkerupuk ikan スラバヤ: クンジュランのkerupuk ikan シドアルジョ: 日産10〜20トン kerupuk ikan/kupang パスルアン: グンポルのkerupuk udang ジュンブル: カリワテスのkerupuk tapioka トゥルンガグン: スンブン村のkerupuk rambak ボヨラリ: ボヨラリ郡・ノゴサリ郡・トゥラス郡のkerupuk tapiokaとkerupuk rambak コンパス紙R&Dの調査データでは、全国に1千軒近い生産者がいる。しかしその数は産 業として行政が認めているものだけではないだろうか。家内工業規模の生産者で、部落内 だけで製品が消費されるようなスタイルを採っているのを加えれば、そんな数では済まな いように推測される。 上の大生産地の中で特に最右翼に位置しているのがインドラマユとシドアルジョの両県。 シドアルジョ県内でクルプッ村として有名なのは1950年代以来のトラシ村と1965 年に始まったクドゥンレジョ村だ。[ 続く ]