「クリピッとクルプッ(15)」(2023年09月13日)

イ_ア語ウィキペディアでは、オパッはクルプッの一種だが素材が違うという解釈をして
いる。多分そのためだろう、モチ米オパッはクルプッというカテゴリー名称が冠せられず、
単にオパッと呼ばれている。一方、kerupuk opakというものが別にあり、こちらはキャッ
サバを素材にしたクルプッになっている。

クルプッオパッあるいはopak singkongと呼ばれる米を使わないオパッは中部ジャワ州ウ
ォノソボ県モジョトゥガ郡カリベベル村が発祥地だ。作り方はキャッサバを蒸してからマ
ッシュにし、塩とおろしニンニクおよびニラ葉みじん切りを加えて練る。中には蒸す代わ
りに茹でるひともいる。そのドウを小さくビー玉サイズにちぎってから潰して円盤状に成
形する。薄い円盤状を干して乾燥させると生オパッができあがる。それをたっぷりの油で
揚げて調理する。油が十分に熱ければ、ほんの7秒間程度でできあがる。たいへんなイン
スタント性だ。

作り方のバリエーションとして、別の方法も紹介されている。まずキャッサバをそのまま
すりおろす。それに塩とおろしニンニクおよびニラ葉みじん切りを加えて練る。そのドウ
をビー玉サイズにちぎってからひっくり返した鍋ぶたの上で薄円盤状にし、鍋に水を入れ
て湯をわかすとドウが蒸しあがる。そのあと干して乾燥させると生オパッができる。

カリベベル村は農村だ。ほとんどの農家が、一説によればほぼ100パーセントが農作業
のかたわらでクルプッオパッを生産している。そしてスマラン〜プルウォクルト街道沿い
にその販売所が並んでいる。使われる素材がたいへん容易に手に入るものばかりであり、
しかも製法が簡単であることが手間を取らず費用も掛からないという点で好まれているに
ちがいない。

ある生産者は1980年からこのビジネスに入った。今では20人の人間を雇って日製1
50キロ前後の生クルプッオパッを作り、それを1キロと0.5キロのパックに入れて販
売している。その製品を作るために1日3百キロのキャッサバを消費する。

中部ジャワ州一円でクルプッオパッは人気の高い食べ物だが、ジャワ島の外へはあまり拡
大していないようだ。外国人にもあまり知られていないという点が今後の成長いかんを決
める突破口になりそうだ。


クルプッの大産地であるトゥンタン村の界隈にもクリピッの生産者が混じっている。ラワ
プニン湖畔のバウェン郡ガシナン村に住むザイナルさんは1977年に商業用クリピッ生
産を開始した。最初はキャッサバのクリピッでスタートし、追い追いバナナやタロ芋のク
リピッを手掛け、また同時にキャッサバでクルプッも作っている。

大豆クルプッにも手を染めてみたものの、競争が激しくてしかも売値が廉いことがビジネ
スの魅力を感じさせなかったために止めてしまった。人を雇って作らせた物が利益を生ま
ないのでは、何をしていることやらわからない、というのがかれの理由だ。

決して高い学歴を持っているわけではないのだが、ザイナルは研究熱心な性格をしていて、
蒸器・コンロ・乾燥室・カッター・ドウ混ぜ棒などさまざまなクリピッ作りのための道具
類をほとんどすべて自分で考案して使っている。自分でそれらを考案するのは、作業効率
を向上させたいためだ。既存の物を特定の目的のために改善し、それで作業スピードをア
ップさせ、人手をかけないで生産量を増加させている。

たとえば乾燥室。調理コンロが生み出す熱気を4X3メートルの壁で囲まれた乾燥室に導
き入れる構造になっていて、それのおかげで雨季も天候の心配をする必要がまったくない。
かれが考案したドウのかき混ぜ棒は1トンのドウを混ぜることができる。[ 続く ]