「ヌサンタラのコーヒー(43)」(2023年12月20日)

1.粉末を買うのでなく、焙煎された豆を買うのがよい。
まだ新鮮度の高い豆を自分で挽くのがベストだ。何か月も保管されていた焙煎豆を使うの
はよくない。また、むやみに細かく挽けばよいというものでもない。目の粗さはfineレベ
ルにし、食卓塩より少し細かい肌理にする。extra fineにすると苦味が強まるから、まろ
やかな風味のバランスが崩れかねない。
自分で挽くのがむつかしいひとは、コーヒー豆販売店で挽いてもらえばよい。コピトゥブ
ルッ用と言い添えることを忘れないように。挽き具合の目の細かさについて店員たちはた
いてい十分な理解を持っている。

2.コーヒーと湯の関係
コーヒーと湯の量的関係に絶対的な基準があるわけではない。とはいえ、平均的な及第点
が取れるものとして、粉末コーヒー大さじ一杯(15グラム)に湯140ccというのを
ひとつの目途にできる。しかし砂糖の量を増やしたりミルクを加える場合は及第しなくな
る恐れが出て来るから、盲目的な基準にしてはいけない。

3.湯のクオリティ
沸騰した湯を火からおろして1〜3分間置き、それをコーヒーに注ぐのがアチェ式コピト
ゥブルッの標準作法だ。沸騰した湯をそのままかけないことがコピトゥブルッの美味しさ
を高める。その状態の湯は90℃くらいの温度になっている。

4.湯の注ぎ方
カップに粉末コーヒーを置いてから鶴首形のヤカンで湯を注ぐとき、中央部に集中させる
ひともいれば、周囲を旋回しながら注ぐひともある。コーヒーと湯の接触する条件がそれ
によって変化する。コーヒー粒の膨らみ方とエキスを湯に放出したあとの滓に違いが出て
来るのである。
理論的に言って、コーヒー粒の膨らみ方の小さいほうが、エキスの放出量が大きくなる。
自分の好みに最適なエキス量を得るために最も効率の良い湯の注ぎ方を見つけ出すのも有
意義なことがらになる。
しかし本当のところは、粉末コーヒーをいきなり熱湯の中に沈めるのでなく、ほんの少し
湯で濡らしてコーヒーからガスを放出させるのが望ましい。30秒くらいガス抜き時間の
余裕を持つのがよいだろう。

5.待ち時間
カップの中の粉末コーヒーに熱湯を注いだあと、粉末が底に沈んで液体と分離するの待つ
時間が必要になる。その間、コーヒーのアロマが強まって行く。一般的に、およそ4分間
が妥当な待ち時間だ。その時間を待たないで啜れば、粉末含みの液体が口に入って来るか
もしれない。
かき混ぜるのは構わないが、まず粉末コーヒーと湯の接触が十分になされたあとでかき混
ぜるほうがよい。かき混ぜはゆっくりと行う。またコーヒーエキスをよりたくさん放出さ
せたい場合、かき混ぜ時間を少し長くしてやると効果的だ。

6.砂糖
真のコーヒーの味を楽しみたければ、混ぜ物は少なければ少ないほどよい。しかし苦いの
が嫌いなひとは砂糖なしでは済まないだろう。砂糖はヤシ砂糖がお勧めだが、入れすぎな
いようによくよくご注意を。
ヤシ砂糖を加える場合は140ccの湯に砂糖大さじ半分が目安になる。あるいは210
ccの湯に砂糖大さじ一杯でもよい。砂糖でなくミルクを混ぜるのも悪くないが、最適バ
ランスがむつかしくなる。
サシェット入り粉末コーヒーを使う場合、砂糖やミルクの混ぜられていないピュアコーヒ
ーでコピトゥブルッを作るほうがよい。しかし豆を買ってそれを粉に挽いたもののほうが
アロマも味覚も美味しさの点でまったく異なっている。インスタントサシェットはインス
タント性を望むひとに最適なものなのである。[ 続く ]