「喫煙がおまえを殺す(前)」(2024年03月14日)

ライター: 文学者、F ラハルディ
ソース: 2014年3月29日付けコンパス紙 "Merokok Membunuhmu" 

ジャカルタでタバコの看板広告のいくつかにRokok membunuhmuという警告が挿入されはじ
めた。これはタバコ製品形式の中毒性成分を含む素材の健康に対する安全に関する201
2年12月24日付け2012年政令第109号の施行開始のウオームアップだ。この政
令には付表の添えられた2013年4月1日付け2013年保健大臣規則第28号が詳細
規定として出されている。それらの政令と大臣規則は2014年7月に全面施行されるこ
とになっている。つまり今年の7月からタバコのパッケージに文と画像の5つの警告が掲
載されるようになる。
(1) Merokok sebabkan kanker mulut
(2) Merokok membunuhmu
(3) Merokok sebabkan kanker tenggorokan
(4) Merokok dekat anak berbahaya bagi mereka
(5) Merokok sebabkan kanker paru-paru dan bronkitis kronis
それらの警告が従来のものに取って代わる。従来の警告文はこれ。
Peringatan Pemerintah: Merokok dapat menyebabkan kanker, serangan jantung, 
impotensi dan gangguan kehamilan dan janin


保健相規則の警告文のほとんどは米国FDAが既に実施している7つの警告文から取られ
たものだ。その中にSmoking can kill you (Merokok dapat membunuhmu)がある。この文
が保健相規則付表の中でMerokok membunuhmuに短縮された。その短縮形に違和感を感じる
のは、me-の付いたmerokok=mengisap rokokとmembunuhの両方の語が二つの目的語(rokok, 
mu =kamu)に対して述語として働くからである。この文はスッキリしない印象をもたらし
ている。そのためかもしれない、タバコの看板広告のコピーライターたちはそれに変形を
加えてRokok membunuhmu.と書いた。

文法的には、主語rokok+述語membunuh+目的語-muの方がより正しい形式だ。しかし論理面
から見るなら、これを完璧に正しいと言うには無理がある。タバコはそれに火をつけて吸
わないかぎり、だれを殺すこともできない。もっと言うなら、タバコを吸ったところで、
その人間が確実に死ぬわけでもない。文法的・論理的にはFDAが作ったMerokok dapat 
membunuhmuという文がはるかに妥当なのである。つまりmembunuhmuの潜在能力を備えてい
るのはタバコでなく、タバコを吸う行為なのだ。それですら、イエスにもなりノーにもな
る。喫煙者のすべてがタバコに含まれている中毒性成分が引き起こした病気によって死ぬ
わけでもないのだから。喫煙者は事故・別の病気・老齢などで死ぬこともある。


製品パッケージの20%の広さを使って警告を掲載しなければならない義務付けとは別に、
品質・優秀さ・安全感・良いイメージを示すlight, ultra light, mild, extra mild, low 
tar, slim, special, full flavor, premium等々の語をパッケージに書き込むことを保健
相規則は禁止した。そればかりか、あたかもタバコ製品が有益であることを暗示するよう
な宣伝文句やシンボルをどんなタバコ製品であってもそのパッケージに表示してはならな
くなったのである。

これはわが民族の思考形態に革命をもたらすもののひとつになるだろう。というのも、従
来から社会の論理は宣伝によってさんざんに捻じ曲げられてきたのだから。もちろんタバ
コがそのよい一例だ。[ 続く ]