「ラ ガリゴ(7)」(2025年06月10日)

レテンリウッから招かれた最高の霊力を持つ僧正であるプアン マトアが聖なる歌を詠じ、
そのあとト パランロエッが呪文を唱えると、甕の蓋が開いた。その甕の中にあったもの
は一本の稲の芽だけだった。

サンギアンスッリは籠に置かれて地上に降ろされることになった。ところが、だれがどう
やっても動かない。プアン マトアをもうふたり呼んできて聖歌を詠じたらやっと籠に乗
った。籠が降ろされた地上の場所は西方にある安息香の地の中心部だった。

地上に着いたので籠から出されたにもかかわらず、稲の芽は直立しようとしない。ビッス
ゥたちが周りを囲んで踊り、プアン マトアをもうふたり増やして聖水を振りかけてみた
ものの、それでも成功しない。このたいへんな仕事のおかげでビッスゥたちはものが言え
なくなってしまった。

両親であるパトトケとパリンゲッ夫妻が地上まで降りてきて呪文を唱えた。ふたりが唱え
た呪文のおかげでサンギアンスッリはやっと直立した。ところが芽のままの状態から全然
成長しないので、ト パランロエッが聖歌を詠じて聖水をサンギアンスッリの従者たちに
振りかけた。すると従者たちはスズメ、コメカメムシ、イモムシ、バッタ、イノシシなど
の稲を害する生き物に変身したのだ。従者のひとりだったウィ オッダン リゥッの乳母も
変身したが、かの女だけは稲を守る三毛猫に変身した。するとサンギアンスッリはやっと
緑色の稲に育った。しかし、黄色くなって稲穂を付けるまでに至らない。

天上界でオッダンリウッを妻にしたいと夢見ていた、千人を超える家格の低い若い衆が嵐
になって地上のサンギアンスッリを襲った。一方、オッダンリウッと同じ家格の若者7人
が稲の生育のために良い雨を降らす季節に変身した。その異変が起こると、稲はやっと稲
穂をつけて頭を垂れた。

オッダンリウッの爪から生まれた大小の魚はビラッ・タッカジョに与えられた。かれは地
上に降りて暗黒の川の守護神になり、神への信仰に篤い人間にだけ魚を獲らせる務めを果
たすのである。


地上に降ろされて7カ月経過した稲は繁殖してたくさん育った。ところがサンギアンスッ
リは問題を見付け出していた。サンギアンスッリはウィ オッダンリウッの姿に戻ると、
乳母に付き添われて天上界の端に姿を現した。パトトケ夫妻は娘が報告する問題を聞いた。
地上で稲を食べるのは動物や鳥ばかりで、人間は米の食べ方を知らないからひとりも食べ
ようとしません。人間はみんなサゴを食べているだけです。

ならば米の食べ方を人間に教えるために、講師を派遣しようではないか。パトトケはト 
パランロエッの子供のテッレットゥ・ソンパッの子供であるレッテッ・パタロッ、つまり
はト パランロエッの孫をウィ レンマンギットゥッと結婚させて地上に派遣することにし
た。稲が何であるかに始まって、その刈り方・脱穀・料理の仕方などだけでなく、農業に
必要な祭祀に至るまでを地上の人間に教える任務を与えられて、ふたりは地上界に派遣さ
れたのである。[ 続く ]