「続・印尼華人の実像(9)」(2025年07月06日)

オルラ期であれオルバ期であれ、政治的圧力がこのマイノリティ人種を襲うたびに破滅的
状況を回避しようとしてかれらは知恵と身体を大回転させた。機を見るに敏であり、その
機をとらえて最大限に有効利用する。そのために何をしなければならないのか、それをす
るための資質は整備されているのか?

親がサバイバルの方法を子供に教えるのはどこの社会でも当たり前のことだろう。そして
華人プラナカン国民にとってのサバイバルというものは、世界中の被抑圧民族と同じよう
にいささか急進的でもあった。子供の人格を作り上げる際に吸収される家庭教育と学校教
育の中で、親から受けた家庭教育が自分の人格の核になっていると感じている者は上述の
アンケート回答者の63%にのぼった。


華人の家庭で親はハードワークと倹約を実践し、富を貯える。そんな親の姿を見ながら、
そして教えを聞きながら育つ子供は、親と同じような振舞いをするようになる。職業生活
における最重要項目がそれなのだとかれらは語っている。

事業の中で一歩一歩信用を築いていくためには倹約が不可欠だ。ビジネスの中で無駄が発
生していないかどうかを常に確かめる。何かを生産しているのなら、その原料の中に使い
すぎているものがあるかどうか。もしあれば過剰な使用量を適正なところまで減らすこと
だ。製品の質を悪くするということでなく、無意味に浪費されているものを無くすのがそ
の目的だ。

また、自立して職業を営むという傾向もある。雇われて仕事をする場合、職業における成
功という問題は職場における地位が最大の要素になるだろう。しかし自営業であれば、そ
のような枠は取り外されて、もっと高いレベルの成功に向かう道が開かれる。リスクから
も無縁ではないため、それに対処する資質の育成も求められる。

他者から信用されるための正直さもそこに必要とされる。社会から信用される人間であれ
ば、ビジネス資金が不十分であってもなんとかやっていくことができる。親に教えられた
徳目の中で正直さと信用を得ること、そして柔軟さがビジネスのために重要であるとアン
ケート回答者の54人が述べている。

華人の親たちは子供が自立して親よりも良い暮らしを営むことを望み、そのために勉学姿
勢を持たせ高い教育を受けさせることに努めた。メダン在住の華人医師はコンパス紙のイ
ンタビューに対してこう語った。
「わたしは1946年にメダンで生まれました。12人の子供の中の10番目です。その
ころ、インドネシア国内は独立革命の戦争中だったんですよ。それでもわたしの親は学校
へ行くように子供たちを仕向けました。父親は小学校も終えていない新客華人だったとい
うのに。子供に勉学させなければならないということを心得ていたようです。」


百家姓という言葉があるものの、中国人の姓は百どころではない。百家姓というのは子供
に漢字を教える学習書であり、姓を網羅した辞典ではないのだ。今では二千や三千をも超
えているという話になっている。中国姓は多分、古代にはまだ数が少なく、時代が下るに
つれて増加したのではあるまいか。

血縁関係にない他人であっても、姓が同じであれば祖先が同じだから親戚になるという宗
族原理を華人は実践している。そのために町や村、あるいは地域に住む同姓の者が機会を
作って集まり、会合やパーティを開いて親睦を深めることが行われている。[ 続く ]