「母の日に想う(後)」(2025年08月06日) < 古代人 > ジャワ島のホモエレクトスに関する興味深い謎がある。ジャワ島でかれらはアジアの他地 域の仲間よりも25万年、アフリカの仲間より100万年も長く生き残った。古代人がジ ャワドウィパと呼んだジャワ島はたいへん肥沃な土地であり、しかも絶好な位置にあった。 加えてかれらの母親たちが子育てに尽力した結果、この種はジャワ島で長期間血統を維持 することができた。 発掘された母親猿人の化石の中で一番古いアウストラロピテクスアファレンシスはエチオ ピアで見つかった3百万年前のものだ。この母親にはルーシーという名前が与えられた。 1974年に発掘されたとき、ビートルズのLucy in the sky with diamondsという歌が ヒットしていたのだ。 他の化石と違って、ルーシーは15体一家族の化石が同一区画内で比較的完ぺきな姿で発 掘された。ルーシーが亡くなったとき、年齢は25〜30歳だったと推測されている。そ して頭骨が破損しており、鈍器で殴られたことを想像させている。 BBCがルーシーについてのストーリーを制作し、Walking with the Cavemenというタイ トルで2003年にDVDが発売された。ルーシーの母性本能はきわめて強く、子供たち を養育し、保護した。その強さはきっと、現代の母親たちのチャレンジ意欲をかき立てる ことだろう。 < 母性本能 > 母の日は子供を持てないことを運命づけられた女性たちにとっての暗黒の日ではない。世 話し保護する本能はさまざまな方面に活用できる特性なのだ。キャリアの妨げになる、健 康上の問題、あるいは妊娠や出産が怖いといった理由で、たくさんの先進国で大勢の女性 たちが子供を持たないことを意図的に選択している。 モダンな環境が母性本能に影響を及ぼしているのだ。しかし母性本能が消滅することはあ りえない。だからポジティブなことがらに向けてその本能を開放してやらなければならな いのである。 一般的に女性は男性よりも穏やかで忍耐強い性質を持っている。だからわがままな子供や 自立心の欠如した子供ができるというような誤解に関連付ける必要はない。世話したり、 あるいは愛情を基盤に置いて状態を整えようとする母性本能は行政を含めた種々のマネー ジメントの中に発生するコンフリクトを軽減する役割を果たすことができるだろう。 今、インドネシアに発足した新内閣には女性大臣が4人いる。国内のざわついた政治状況 がその母性本能で穏やかになるようにわれわれは期待している。 今年も米国で母の日が盛大に祝われた。インドネシアでもそうであって欲しい。米国で母 の日はいつも日曜日になり、国民の祝日ではないが、それが記念日の値打ちを下げるもの でもない。衣服や食べ物から贅沢品に至るまで、母の愛を賞賛する宣伝広告がほぼひと月 間テレビでたくさん流される。 記念日の当日はみんなが母親をいたわろうとしてリラックスするように仕向ける。あまり 仕事をさせないように努め、母親に奉仕し、外食に誘う。この日に欠かせない伝統行事は 花を贈ることだ。女性教員もその恩恵に浴す。学校の生徒たちはひとりひとりが花を持ち 寄り、花束にまとめて教室の表に飾る。色・形・サイズのさまざまな花が束ねられ、華や かで美しい。 伝統を変えるのは難しい。かつて自然の花を集めようとして、花探しに川へ行ったり山へ 行ったりしたことがあった。たいへんな時間とエネルギーの消費になったためにそのアイ デアは続かなかった。結局、スーパーで売られている切り花を買って来る方式に戻った。 母の日、おめでとう。外国に住んでいると一年に二回母の日を祝うことになる。しかしそ れでも母に送る感謝の気持ちが十分に尽くされた気がしない。母に尊敬を込めて。[ 完 ]