「母は一人しかいない(前)」(2025年08月08日)

ライター: 医師、ハンドラワン・ナデスル
ソース: 2008年12月22日付けコンパス紙 "Hanya Ada Satu Ibu" 

日本の母たちは一日中子供を育てることに没頭しているために、最良の母であると見なさ
れている。子供が母親を必要としている間、キャリアを犠牲にして家庭の中のマネージメ
ントを担う妻が賢明な母であると評価されているのだ。

賢明な母であるだけでは、子供にとって不十分だ。授乳できるだけでも不十分だ。天然自
然の本能的生理的な母親以上のものが母親に要求されている。育てられる子供が高いクオ
リティを持つ大人になるために、母親はその中身を子供に注入しなければならない。「民
族の将来は母の掌中にある」という格言はいまだに真理なのである。一方、子供自身が自
分の母親を選択することはできないのだ。

< 全権が母親の双肩に >
子供がどんな人間になるかということが母の掌の中にある。重い責任だ。母親のひとりひ
とりが自分の子供にクオリティを与えるための育児の全権を担っている。優れた種を受け
継いだだけでは、その子がクオリティある大人になることが保証されない。妊娠中の世話
が妥当なものでなく、出産が円滑でなく、赤児に適切な栄養が与えられなければそれらの
ひとつひとつがハンディキャップをもたらす。母親はそれらすべてのプロセスを上手にや
りこなさなければならない。

残念なことに、母親のだれもが優れた母親になれるわけでもない。健康は教育と関連して
いる。母親に知識がないためにミルク以外のものを赤児に食べさせたりすれば、その子の
消化器官が大人になるまで健全でいられる可能性は小さい。二歳までに十分なタンパク質
を与えなければ赤児の脳は発育不全になり、そのチャンスは二度とやってこないというこ
とを母親が知らなければ、その子の思考能力はどうなるだろうか?

正しい子供の養育方法をだれが母親に教えるのだろうか?育児知識の問題とは別に、世間
に広まった迷信や言い伝えを放置しておけば、母親は育児で間違いを犯しかねない。


ビタミン不足によって身体異常の赤児が生まれる現象は民族的災厄になっている。ビタミ
ンB6、葉酸、鉄分などは実際に廉価であり、容易に買えるものだ。しかし母親がそれを知
らなければ、口唇口蓋裂や脊髄神経管閉鎖障害の赤児が生まれてくるかもしれない。

先天性四肢障害で生まれた子供は、クオリティある人材になれない。妊婦の貧血によって
妊娠や出産に障害が起こり、生命を失わせたり生まれた赤児のクオリティを劣化させるよ
うなことも起こる必要のないものだ。それらの無知は高い代償を強いる。

子供の養育と教育が誤っていれば、もっと高い代償を支払わなければならない。子供は大
人になってから、母や父がその子に注入した思考法・感じ方・振舞い方を再現させる。い
つも殴られていた子供は問題解決を殴って行おうとするようになる。「まず殴る。問題へ
の対応はそれからのこと。」

小さいころから非難ばかりされていた子供はいじけた大人になる。小さいころ抑圧されて
いた子供は乱暴で攻撃的な大人になる。正常でない性観念を持って成長した子供は異常な
性行動に傾くリスクを持つ。幼児期のトイレットトレーニングを誤っただけで、その子の
深層意識に性的トラウマを残す可能性もある。[ 続く ]