「アンバラワ鉄道ループ(3)」(2025年09月23日) ブドノとは逆方向のアンバラワ〜トゥンタン区間も博物館が鉄道を走らせており、こちら はディーゼル機関車による定常運行が行われている。アンバラワ発時間は10時、12時、 14時。もちろんこの路線でも蒸気機関車チャーターを受けてもらえるので、その場合は ラワプニン湖の岸辺を走る湖畔ツアーになるだろう。 この湖畔ツアーもマウンテンツアーに劣らないロマンチックな旅だと経験者は物語ってい る。ただしこちらの方は、ラック式線路走行のセンセーションを味わうことができない。 インドネシア国鉄はスマラン〜アンバラワ路線を復活させようとして、クドゥンジャティ 〜トゥンタン間37キロの鉄道線路を修復し、列車運行を再開させたい考えを表明してい る。もちろん国鉄の一存で運行再開ができるものではなく、政府運輸省の許可を得なけれ ば実現しない。国鉄の事業には必ず採算の問題が絡み、赤字が出れば政府の資金がそちら へ流れることになるのだから、どんなプロジェクトも黒字コンセプトで出発しなければ夢 物語に終わってしまうだろう。 トゥンタンには観光資源がある。トゥンタン駅から2キロほど離れた場所にあるトゥロゴ アグロ観光園だ。1856年にTlogo Maatschapij Amsterdamが開いたコーヒーとゴムの 農園を中部ジャワ州政府が観光地区にした。この観光園の位置している標高675メート ルのロン山からはラワプニン湖が見下ろせ、北にウガラン山、南西にトゥロモヨ山、南に ムルバブとムラピの両火山が遠望できるばかりか、ロン山の洞窟見学も一般公開されてい て、行楽にはもってこいだろう。 トゥンタン〜クドゥンジャティ路線は多くの場所で線路が姿を消し、畑や住宅に変わった。 畑の端などのところどころに半ば土に埋もれた鉄路を見出すことができるばかりだ。 トゥンタン郡カランアニャル村には植民地時代に設けられた~ガングロンNganggrong鉄橋 がまだその姿をとどめている。しかし残念なことに、鉄路はかけらも残っていない。~ガ ングロン鉄橋を越えるとブリ~ギンBringin駅がある。頑丈に建てられたその駅舎は今、ツ バメの巣を収穫するための建物に使われている。鉄路の跡はコンクリート道路に姿を変え、 駅舎の左右も新たに建てられたツバメの巣収穫用の建物にはさまれていて、歴史的な価値 はガタ落ちになっている。かつての列車乗降場に残された錆だらけの鉄道信号機がかろう じてそこが駅舎であったことを物語っている。 ブリギンからクドゥンジャティまでの区間はもはや鉄路を探すことすら難しい。アスファ ルトで埋められ、その上に住居が建っている。ゴゴダラム駅とトゥンプラン駅の間にある トゥンプラン鉄橋は1970年代末に崩れ落ちた。 クドゥンジャティ駅はタングン駅と同年に建てられたインドネシア最古の鉄道駅舎だ。タ ングン駅舎は1910年に建て直されている。今タングン駅は乗客や貨物の乗降駅として 使われていないが、、国鉄はインドネシア最古の駅舎としてしっかりとそれを保存し続け ている。 そこから10キロほど離れた位置にクドゥンジャティ駅が建てられた。そのクドゥンジャ ティ駅とアンバラワが結ばれて、1873年5月21日にオープニング式典が華々しく催 され、最初のアンバラワ向け列車が出発して行った。 インドネシア国鉄はアンバラワ〜クドゥンジャティ路線を復活させるために、線路用地の 上に作られた家屋や構造物を移転させ、廃駅になっていた駅舎を再建し、消えた鉄路を敷 設し直すといった準備を進めている。それが復活すれば、ジャワ島北岸諸都市の住民はア ンバラワ〜ブドノへの観光の足が便利さを高めることになる。その日は果たして、いつや って来るだろうか。[ 続く ]