「竹の大砲(1)」(2026年01月27日)

インドネシアのイスラム文化地域では、ルバラン前になるとズドンズドンと大きな音を鳴
らす所が多い。マレーシアやブルネイダルッサラムでも同じだし、フィリピンではクリス
マス〜新年シーズンに同じことが行われている。アフリカにも同じ習慣があると英語ウィ
キペディアは述べている。

インドネシアやマレーシアあるいはブルネイのムスリム若者たちはラマダン月のブカプア
サの時間が来る前にそれを行って待つことの退屈さを紛らわせているようにも見える。カ
トリック教徒が住民人口の54%を占め、プロテスタント人口も36%に上っている東ヌ
サトゥンガラ州でも、キリスト教徒がアドヴェントの時期から新年が来るまで、同じよう
にズドンズドンをやっている。

イエスの誕生を知らせるために昔ベツレヘムでそれが行われ、それが田舎の村々に広がっ
て伝統行事になり、大音響が毎日轟くようになったのだとフローレス島では語られている
そうで、キリスト教徒のズドンは伝統の維持という解釈になるのだろう。いずれにしても、
近付いて来るお祭りの気分を盛り上げる効果をもたらしているにちがいあるまい。

ところがフローレス島のズドンの発端はキリスト教に関係していないという話もある。フ
ローレス島では元々、死者が出たときにズドンを鳴らして村中に知らせたのが事始めであ
り、そのしきたりが島にあるすべての村々で行われるようになり、いつしかキリスト生誕
の記念日を知らせる合図に使われるようになったという話もあるのだ。


そのズドンを鳴らす仕組みはインドネシアで普通meriam bambu(竹大砲)あるいはmeriam 
karbit(カーバイト大砲)と呼ばれているが、地方によって異なるローカル名称で呼ばれ
ているケースもある。中には竹でなくて木製の大砲が標準になっている地方もあるようで、
その場合には竹という言葉が使われないのが道理ではないかという気がする。

バンカブリトゥン地方では大砲でなく銃を意味するbedil bambuと呼ばれており、ミナン
カバウ地方はミナン語でbadia batuang、アチェではアチェ語でte’t beude trieng、ジ
ョクジャや中部東部ジャワではジャワ語のmercon bumbungあるいはlong bumbung。バンテ
ン人やスンダ人の一部はbebeledugan、スラウェシ島のゴロンタロやインドネシア東部地
方の一部はbunggoと呼んでいる。

竹の大砲を作る場合、よく成長した古い竹が砲身になる。径の太い年経た長い竹を選びだ
して直径4センチくらいの部分を3〜4節の長さに切り、長さ1.5〜2メートルくらい
の砲身をまず用意する。

その砲身の根元から10センチほど上の位置に親指が入るくらいの穴を一個開ける。それ
が火門になる。次いで各節を紐やゴムチューブで固く縛り、爆発の衝撃に負けない耐久性
を持たせる。そのあと竹の節を抜く作業に入るが、根元の節まで抜いてはいけない。砲身
はできるだけ肉厚が均一で、内部が滑らかなボアになっているのが理想的だ。

爆発時に衝撃波の噴出する条件が良くなければズドンの大音響はクオリティダウンするだ
ろうし、砲身が割れては戦えない。火薬には灯油やカーバイト(炭化カルシウム)が使わ
れる。カーバイトは塩水と混ぜてアセチレンガスを発生させる。[ 続く ]